●念返し

東京から若い夫婦が相談にこられた。三ヶ月前ほどから夫は腰が、奥さんは膝が痛くて辛いという。また夜も深く眠れず、朝起きて疲れが解消していない、というのです。病院で看てもらっても別に異常は発見されず、湿布薬と痛み止めを渡されたが、一向に治らないと云うのである。また、その頃から何故か神棚の左の榊だけが枯れるようになり、何度取り替えてもすぐに枯れてしまうというのである。
 いろいろお話を伺っているうちに、2、3気になる点があったので、詳しくお聞きしたところ、二人の結婚生活をねたんでいるであろう方がおられるというのである。
霊査をしてみると、やはりこの二人には相当に強い女の念が掛けられているようで、神棚の左の榊が枯れるというのも、その念から発する「穢れ(けがれ)」によるからである。
さっそく二人には「念返しの術(仮称)」を受けられるようにお勧めをした。
準備に二日ほどいただき、神事を執行させていただいた。 女の依代(よりしろ)に「特殊な術」を施し、大海原へ流し去るという方法で、奈良時代初期頃から行われてきたと聞いている。
儀式が終わり、二人に立ってみるよう勧めると、夫は腰が、奥さんは膝の痛みが見事に消え失せたのである。
お二人には二度とそうした災いを受けることのないように結界符を持ってもらい帰っていただいた。
後日、おかげさまで体調も快復し、あの日以来神棚の榊も枯れることがなくなりましたとの、うれしい報告の電話がはいりました。