◇土地の禍(わざわい)


◇土地のけがれ

家を祓って戴きたいのですがという電話をいただきました。
マンション住まいから、ようやく庭のある一軒家を購入したのは良いのですが、なぜかその家に向かおうとすると気分が悪くなったり、家の中に居ると気分が落ち込んで行くというのです。
幼稚園児と生後三か月の赤ちゃんがいることから心配になり、お祓いをお願いしたということでした。
伺ってみると新築の二階建てで、広い駐車場もあり、結構なお家でした。別に陰気な感じもなく、まわりも新しいタイプの家が立ち並ぶ住宅地区でした。
外を見て回ると、たまたま近所の方が、ほうきで落ち葉を掃き出しており、目が合って向こうから 声を掛けてきました。この家に引っ越しして 来た人だと勘違いしたのでしょう。
ニコニコして挨拶を述べ「ようやく安心できました。何せ今までは草ぼうぼうで、家はゴミの山、挨拶もしない御婆さんが一人で住んでいましたから」とおしゃるのです。家というのは、生き物と同じで呼吸をしています。旅行などでしばらく留守にした家と、人が引き払い空き家になった家とは、その家の精気はまったく違うものになってしまうのです。
人が住まなくなった家は、あっという間にあばら家になり、陰気が籠ってしまいます。実に不思議なことです。この土地もそれと同じように、長年草ぼうぼうにしたり、ごみ屋敷が建っていたりで、土はその精気を失っていたのでしょう。
そうした土地の上に建てた家を、何も知らないご夫婦は買 い求めてしまったのです。依頼主の奥さんが、この家に来ると気分が悪くなるのは、そのせいだったのです。
さっそく、この家の土地に結界を張り、神棚を設けて神のご加護を願い申し上げ、念入れに清祓いの神事を執行しました。